年賀状は以前ほど出さない。書類はコンビニでも印刷できる。それでも、必要な一枚をすぐに出せるよう、プリンターは家に置いておきたい。
そう考える人にとって、機種選びは意外に難しいものです。
プリンターを買うとき、本体の値段はすぐに分かります。
分かりにくいのは、その後です。
インクを一式買うと、思ったより高い。用紙を替えるたびに背面へ手を伸ばす。久しぶりに使ったら、ヘッドクリーニングが必要になる。さらに何年かすると、廃インクに関する表示が出ることもあります。
では、最初からエコタンクを選んだ方がよいのでしょうか。写真がきれいな6色機なら、値段が高くても後悔しないのでしょうか。
今回はメーカーをエプソンにそろえ、性格の違う家庭用A4複合機4機種を比べました。「たまにしか使わないから、一番安い機種でよい」と決める前に、印刷しない期間の手入れや置き場所まで含めて考えます。
- EW-056A:4色カートリッジ式(自動両面印刷なし)
- EW-456A:4色カートリッジ式(自動両面印刷あり)
- EP-887A:6色カートリッジ式(写真印刷向け)
- EW-M757T:5色ボトル式(エコタンク)
これは実機を使い比べた記事ではありません。2026年8月24日時点のメーカー公式情報と、型式を確認できた利用者の投稿を分けて整理したものです。
4機種の違いを先に見る
| 機種 | インク | A4カラー文書1枚の公式インクコスト | 給紙と両面印刷 | 廃インクへの備え |
|---|---|---|---|---|
| EW-056A | 4色カートリッジ | 約16.2円 | 背面50枚/自動両面なし | 交換式メンテナンスボックスなし/廃インクパッドは修理交換 |
| EW-456A | 4色カートリッジ | 約16.2円 | 背面100枚/自動両面あり | 交換式メンテナンスボックスあり/自分で交換 |
| EP-887A | 6色カートリッジ | 約14.8円(増量使用時) | 前面2段100枚+背面手差し1枚/自動両面あり | 交換式メンテナンスボックスあり/自分で交換 |
| EW-M757T | 5色ボトル | 約3.7円(大容量使用時) | 前面100枚+背面手差し1枚/自動両面あり | 交換式メンテナンスボックスあり/自分で交換 |
※メンテナンスボックスとは、印刷やヘッドクリーニングの際に出る余分なインクをためる交換容器です。満杯になると、交換するまで印刷できません。対応機種では、修理に出さず利用者が自分で交換できます。ただし、後で説明する「フチなし印刷用の吸収材」は別の部品です。
表の金額は、A4カラー文書を1枚印刷するときのインク代です。紙代は含みません。同じ「A4用紙」でも値段はさまざまなので、ここでは比較から外しました。
数字は各機種の公式仕様による目安です。実際のインク消費は、印刷内容やクリーニングの回数で変わります。
この表だけでも、安い機種と高い機種の違いが「印刷のきれいさ」だけではないことが分かります。
EW-056A|たまに文書を出せればよい人へ
EW-056Aの公式仕様では、液晶画面も自動両面印刷もない、4色カートリッジ式の複合機です。給紙は背面から最大50枚。本体は約4kgで、収納時の大きさは幅390×奥行300×高さ146mmです。
公式のA4カラー文書インクコストは、1枚約16.2円です。L判写真の標準印刷速度は約74秒。写真を何枚も続けて刷る機種というより、書類、地図、学校の提出物などを必要なときに出す使い方が合います。
メーカーはL判写真について、指定の写真用紙とインクを合わせた費用も公表しています。ただし、写真用紙には多くの種類があり、購入価格も違います。そのため、この記事では「用紙込み」の金額を機種選びの基準にはしていません。
価格.comの同一型式レビューにも、「月に一度ほどの印刷なら十分」「必要最小限で小さい」という趣旨の投稿があります。その一方で、動作音、印刷の遅さ、Wi-Fi設定、インクの減り方への不満も見られました。評価が割れているので、「安いから誰にでも十分」とは言えません。
もう一つ、買う前に知っておきたいのが廃インクです。公式の消耗品一覧に、利用者自身が交換できるメンテナンスボックスは掲載されていません。廃インクパッドの交換が必要になった場合は修理対応です。
印刷枚数が少なく、両面印刷も本体画面も求めないなら、本体価格を抑える意味があります。長く大量に印刷する前提なら、最初の安さだけで決めない方がよさそうです。
EW-456A|印刷は多くないが、両面印刷と扱いやすさを求める人へ
EW-456Aの公式仕様でも、A4カラー文書1枚の公式インクコストは約16.2円。インク代だけならEW-056Aと同じです。
違うのは、背面給紙が最大100枚になり、自動両面印刷と1.44型液晶が付くことです。書類を両面で出すたびに紙を裏返さなくてよく、エラーの内容も本体で確認できます。
購入後の差として大きいのは、EWMB3というメンテナンスボックスを自分で交換できることです。これは、印刷やヘッドクリーニングで出たインクをためる容器です。満杯になると新しいものへ交換します。
ただし、これですべての廃インクを自分で処理できるわけではありません。フチなし印刷用の吸収材は別にあり、その交換は修理対応です。エプソンは、この吸収材が限界に達した後も通常の印刷は続けられるものの、フチなし印刷を再開するには修理が必要だと案内しています。
EW-056Aとの差は、印刷品質よりも日々の手間と、長く使うときの扱いやすさにあります。
EP-887A|写真を印刷し、用紙の入れ替えを減らしたい人へ
EP-887Aの公式仕様では、6色の染料カートリッジを使う、写真寄りの機種です。L判写真の標準印刷速度は約13秒で、EW-056Aの約74秒より大幅に短くなっています。写真用紙の価格は選ぶ製品によって変わるため、「用紙込み」の金額では比べません。
前面トレイが2段あり、たとえばA4普通紙と写真用紙を入れておけます。利用者レビューにも、2種類の用紙を常時セットできることを便利とする投稿がありました。4.3型タッチパネル、ディスクレーベル印刷、自動両面印刷もあります。
一方、カートリッジは6色です。スマホ印刷を便利とする人がいる一方で、インクの減りや費用を負担に感じた人もいました。Wi-Fiの初期設定で手間取ったという投稿もあります。どれも一人ひとりの経験ですが、高い機種だからといって、設定や維持費の負担までなくなるわけではありません。
写真をほとんど印刷しない人が、念のために6色機を買う必要はありません。反対に、家族写真を自宅で出したい、普通紙と写真用紙を入れ替えたくない、CDやDVDのレーベルも作りたい人には、カートリッジ代とは別の価値があります。
メンテナンスボックスはEPMB1で、自分で交換できます。
EW-M757T|本体価格より、これから刷る枚数で考える機種
EW-M757Tの公式仕様では、カートリッジではなくボトルからインクを補充する、5色ボトル式の複合機です。
公式のA4カラー文書インクコストは、大容量ボトル使用時で1枚約3.7円。EW-056AとEW-456Aの1枚約16.2円に比べると、印刷するたびに約12.5円の差が出る計算です。どちらにも紙代は含めていません。
では、本体価格の差は何枚印刷すると埋まるのでしょう。
仮に、EW-M757Tとカートリッジ機の本体価格に3万円の差があったとします。A4カラー文書を1枚刷るごとに、インク代の差は約12.5円です。そこで、本体価格の差を埋めるまでの枚数を計算すると、
3万円 ÷ 12.5円 = 約2,400枚
約2,400枚を5年間、つまり60か月で印刷するなら、1か月あたり約40枚です。
たとえば月10枚なら、5年間で600枚。インク代の差は約7,500円なので、3万円高い機種を選んでも、インク代だけでは元を取れません。
月100枚なら、5年間で6,000枚。インク代の差は約75,000円になる計算なので、エコタンクを選ぶ理由が見えてきます。
この計算では、紙代を含めていません。どの機種でも同じ紙を使うと考え、機種によって差が出るインク代だけを比べるためです。また、初期充填、ヘッドクリーニング、故障、実売価格の変動も含めていません。
将来かかる費用を正確に示すものではありませんが、「たくさん刷る気がする」ではなく、月に何枚ほど刷るのかを考える目安にはなります。
前面給紙、自動両面印刷、4.3型タッチパネルがあり、メンテナンスボックスも自分で交換できます。インクボトルを本体の注入口に挿すと補充が始まり、満量になると自動で止まる仕組みです。
同一商品についての利用者投稿では、カートリッジ式から印刷コストを考えて替えた人や、スマホの案内に従い約30分で設定できた人がいました。ただし、2024年11月発売の機種です。数年後の故障や手入れまで書かれた記録は、まだ十分ではありません。
「廃インクを自分で交換できる」の意味
ここは少し紛らわしいところです。
メンテナンスボックスは、印刷やヘッドクリーニングのときに出たインクをためる容器です。EW-456A、EP-887A、EW-M757Tは、対応品を買って利用者が交換できます。
一方、「廃インク吸収パッド」「フチなし印刷用廃インク吸収材」という表示が出た場合は、メンテナンスボックスとは別の部品です。こちらは修理が必要です。
つまり、交換式メンテナンスボックスのある機種でも、廃インクに関する部品をすべて自分で交換できるわけではありません。表示された言葉を見て判断する必要があります。詳しくはエプソンのメンテナンスボックスの案内と廃インク吸収パッドの案内で確認できます。
「たまに使う人」が見落としやすい3つのこと
印刷していないときにも、インクを使うことがある
インクは、紙に文字や写真を出すときだけに使われるものではありません。ノズルの目詰まりを解消するヘッドクリーニングでも消費されます。エプソンも、状態によっては全色のインクを多く使うことがあると案内しています。購入直後の初期充填にもインクが必要です。
だからといって、数か月使わなければ必ず故障するという意味ではありません。ただ、印刷枚数が少ない人ほど「一枚あたりの公式インクコスト」だけでは、実際の負担を読み切れないということです。
収納できる場所と、印刷できる場所は同じではない
本体寸法には「収納時」と「使用時」があります。たとえばEW-056Aの奥行きは、収納時300mmに対して使用時504mmです。EW-456Aは300mmから578mmになります。
背面から紙を入れ、前へ排紙するための空間が必要だからです。棚に本体が収まっても、印刷のたびに前へ出すことになれば、小さな負担が残ります。置き場所を測るときは、本体の横幅だけでなく、使用時の奥行きとコンセントの位置も見ておく方が安心です。
家に置く価値は、一枚の金額だけでは決まらない
月に数枚なら、コンビニ印刷の方が総額を抑えられることがあります。それでも、夜間や出かける直前に必要になった書類をすぐ出せること、個人情報のある書類を持ち歩かずに済むこと、コピーやスキャンも自宅でできることには、金額とは別の価値があります。
一方で、久しぶりに使うと、端末やWi-Fi環境の変化によって再設定が必要になることもあります。「家にあるだけで安心」ではなく、必要なときに使えるか、ときどき接続や印刷を確認できるかまで含めて考えると、購入後の姿が見えやすくなります。
買う前に、月の印刷枚数を数えてみる
機種を決める前に、直近3か月ほどを思い出してみてください。
- 月に何枚、A4カラー文書を刷ったか
- 写真を自宅で印刷したか
- 普通紙と写真用紙を頻繁に替えたか
- 両面印刷を使ったか
- 急に必要になる書類があったか
年に数回しか印刷しないなら、買わずにコンビニ印刷で済ませる選択もあります。反対に、印刷枚数は少なくても「必要なときに自宅ですぐ出せること」を重く見るなら、手元に置く理由はあります。
ここで大切なのは、たくさん刷らなければ買う意味がない、と決めつけないことです。節約だけでなく、自分がどの手間を減らしたいのかで考えます。
4機種から選ぶなら
たまに文書を出せればよく、購入時の負担を抑えたい
EW-056A。液晶、自動両面、交換式メンテナンスボックスがないことを承知して選ぶ機種です。
印刷枚数は多くないが、自動両面印刷と購入後の扱いやすさがほしい
EW-456A。EW-056Aとの違いは、画質よりも手間の少なさにあります。
写真を自宅で出し、普通紙と写真用紙を入れたまま使いたい
EP-887A。6色カートリッジの費用を負担しても、写真印刷や2段給紙を使いたいかを先に考えます。
A4カラーを月40枚前後以上、数年間続けて刷る見込みがある
EW-M757T。本体価格ではなく、これから刷る総枚数で検討する機種です。
どの機種が合うかは、家庭ごとの印刷枚数と使い方で変わります。
印刷が少ない人には本体の安さが効きます。ただし、印刷以外に使うインク、使用時の置き場所、接続や手入れの負担も残ります。印刷が多い人には、一枚ごとのインク代の差が積み上がります。
写真、給紙、両面印刷、廃インクの扱い、そして「家に置いておきたい理由」まで含めて考えると、自分に必要な機種が見えてきます。
調査日:2026年8月24日
この記事は、メーカー公式サイト、公式FAQ、取扱説明書、複数の利用者投稿を確認して作成しました。実機を使用したレビューではありません。利用者の感想は個人の経験であり、同じ結果を保証するものではありません。価格や仕様、修理対応は変更されることがあります。購入前にメーカーと販売店の最新情報をご確認ください。
記事の作成にはAIを補助的に使用する場合があります。掲載内容は運営者が確認し、責任を持って公開しています。
現在、この記事に広告・アフィリエイトリンクはありません。

コメント