使わなくなったモバイルバッテリーが、机の引き出しに残っていることがあります。
運営者が暮らす市では、「小型複雑ごみ」として多くの品目を収集しています。ところが、モバイルバッテリーは同じ扱いではありません。
2026年3月に更新された市の案内では、異常のないものは回収協力店へ、膨張や破損などがあるものは有害危険ごみへ出すよう分けられています。
小型家電を広くまとめて収集し、ごみ分別が比較的分かりやすい地域でも、充電式電池については別の案内を確認する必要があります。
先に見るのは、メーカー名よりも製品の状態です。外観に異常のないものと、膨張・破損・水濡れがあるものでは、持ち込める先が同じではありません。
この記事では、家庭で使ったモバイルバッテリーについて、回収先を探す順番と、買う前に確認しておきたいことを整理します。
違いを先に見る
| 製品の状態 | 最初に確認すること | 回収先の考え方 |
|---|---|---|
| 外観に異常がない | メーカーがJBRC会員企業か、近くに協力店・協力自治体があるか | JBRCの検索で持ち込み先を探す。店舗では先にスタッフへ確認する |
| メーカー不明・JBRC会員企業外 | 住んでいる市区町村の分別・回収方法 | メーカーまたは自治体へ相談する |
| 膨張・変形・破損・水濡れがある | 自治体やメーカーが異常品を受け付けるか | JBRCの協力店回収には出さず、自治体またはメーカーへ相談する |
| リコール対象 | メーカーが案内する使用中止と回収方法 | 通常の廃棄ルートより先に、リコールの案内に従う |
ここでいうJBRCは、小型充電式電池の回収と再資源化を進めている一般社団法人です。ただし、全国のどの店でも、どの状態の製品でも受け取る仕組みではありません。
JBRCの協力店・協力自治体検索では、協力店ではスタッフへ声をかけるよう案内しています。店頭に回収容器が見えても、自分で入れる前に確認した方が確実です。
「充電できない」より前に、外観を見る
古いモバイルバッテリーを見つけたら、動作確認のためにすぐ充電するのではなく、まず外観を見ます。
- 本体が膨らんでいないか
- ケースが割れたり変形したりしていないか
- 水に濡れたことがないか
- 焦げたようなにおいや、化学薬品のようなにおいがしないか
- 以前より異常に熱くなることがなかったか
NITE(製品評価技術基盤機構)は、膨張・変形、異常な発熱、異臭、衝撃による破損などを異常の例として挙げ、異常を感じた場合は使用を中止して、販売店やメーカーへ相談するよう案内しています。NITE「リチウムイオン電池搭載製品の事故」
膨らんだ本体を押して戻す、ケースを開ける、電池だけを取り出す、といったことはしません。モバイルバッテリーは、本体のまま回収対象になる場合があります。JBRCも、分解して電池を取り出さないよう明記しています。JBRC「不要電池の出し方」
正常なものは、JBRCの三つの条件を見る
外観に異常がない場合でも、「リサイクルマークがあるから回収できる」とは限りません。
JBRCが示す回収条件は、次の三つです。
- JBRC会員企業の製品である
- リチウムイオン電池など、対象となる電池の種類が分かる
- 破損・水濡れ・膨張などの異常がない
メーカー名は、JBRC会員企業リストから確認できます。持ち込み先も同じページで地域から検索できます。
ただし、検索結果に出た店舗が、営業時間中いつでも無条件に受け取るとは限りません。取り扱い方法や受付場所は店によって違うため、持参する前に電話や店舗案内で確認します。
JBRCは、露出した金属端子やリード線について、短絡を防ぐためテープなどで絶縁するよう案内しています。モバイルバッテリーを持ち込むときも、端子の扱いを含め、店舗や自治体の指示に従うのが安全です。異常のある製品へ自分でテープを押しつけることはせず、先に受け入れ先へ相談します。
膨張したものは、回収協力店へ持ち込めるとは限らない
最も間違えやすいのが、膨張したモバイルバッテリーです。
JBRCは、膨張、破損、水濡れ、外装の変形などがある電池を回収対象外としています。これは「捨てられない」という意味ではなく、通常の協力店回収とは別の処理が必要ということです。
この場合は、次の順番で確認します。
- 製品のメーカーに、異常品の回収窓口があるか確認する
- 住んでいる市区町村の公式サイトで、「モバイルバッテリー」「リチウムイオン電池」「膨張」の語を入れて調べる
- 判断できなければ、自治体のごみ・資源回収の窓口へ状態を伝えて相談する
環境省も、家庭から出るリチウムイオン電池や電池使用製品は、住んでいる市区町村のルールに従うよう案内しています。環境省「リチウムイオン電池関係」
自治体によっては、正常品と膨張品の持ち込み場所を分けています。「不燃ごみの日」「小型家電の箱」など、名前だけで判断せず、自分の市区町村の現在の案内を確認します。
PSEマークは、回収先を示す印ではない
モバイルバッテリーを買うときには、PSEマークを確認します。
2019年2月以降、PSEマークのないモバイルバッテリーは販売できません。NITEは、PSEマークだけでなく、その近くに届出事業者名があるか、販売元の連絡先や日本語でのサポートが確認できるかも見るよう案内しています。経済産業省「モバイルバッテリーの規制対象化と注意点」、NITEの購入時チェック項目
ただし、PSEマークはJBRCの回収先を示す印ではありません。
- PSEマーク:販売される電気用品が、法令上必要な表示を備えているかを見る
- リサイクルマーク:電池の種類や回収・再資源化に関わる表示
- JBRC会員企業かどうか:JBRCの回収対象を判断する条件の一つ
三つは役割が違います。「PSEがあるから、どの回収箱にも入れられる」とは考えない方がよいでしょう。
リコールは、壊れてから調べるものではない
製品に異常がなくても、メーカーが回収や交換を案内していることがあります。
NITEが2026年8月に紹介した事故例には、リコール対象のモバイルバッテリーを充電中に出火した事例が含まれています。同機構は、購入前と購入後の両方でリコール情報を確認するよう案内しています。
確認には、メーカー名と型番が必要です。本体の表示が読めるうちに、スマートフォンで撮影するか、購入記録と一緒に残しておくと、数年後にも探しやすくなります。
リコール情報は、NITE SAFE-Liteや経済産業省のリコール情報から検索できます。対象だった場合は、通常の回収へ持ち込む前に、メーカーの案内に従います。
買う前に、容量と端子以外も見る
モバイルバッテリーの商品ページでは、容量、重さ、充電速度、端子の種類が先に目に入ります。買った後まで考えるなら、次の点も確認しておきます。
メーカー名と連絡先が分かるか
製品名が似ていても、販売元や輸入事業者が分からなければ、不具合や廃棄の相談先を探しにくくなります。連絡先が実在するか、日本語で問い合わせられるかまで見ます。
型番が本体に残るか
箱を捨てた後でも、本体から型番を読めるものなら、説明書やリコールを調べやすくなります。
PSEマークと届出事業者名があるか
価格だけで決めず、商品画像と実物の表示を確認します。
回収方法を購入前に見つけられるか
メーカーがJBRC会員企業か、独自の回収案内を出しているか、自治体に受け入れ先があるかを調べます。買う前に回収先が一つ見つかれば、使い終えた後に引き出しへ残りにくくなります。
使っている間にも、処分しやすさは変わる
通常の状態で使い終えたものと、膨張・破損したものでは、回収先の選択肢が変わります。
NITEは、高温になる車内や直射日光の当たる場所へ放置しないこと、強い衝撃や圧力を加えないこと、異常を感じたら使用を中止することを案内しています。処分のためだけでなく、使っている間の事故を避けるための注意です。
毎日残量を細かく管理する必要はありません。ただ、長く使っていないものを高温になる場所へ置いたままにせず、たまに外観と型番を確認できる場所へ移しておくと、異常やリコールに気づきやすくなります。
いま家にあるものを片づける順番
引き出しに複数ある場合は、一度に充電して選別する必要はありません。
- メーカー名と型番を読む
- 膨張・変形・破損・水濡れの有無を見る
- リコール情報を検索する
- 正常品はJBRC会員企業と協力店を確認する
- 対象外品や異常品は、メーカーまたは自治体へ相談する
- 持ち込み先の指示どおりに梱包・絶縁して持参する
この順番なら、回収箱の前まで行ってから断られる可能性を減らせます。
結論
モバイルバッテリーの捨て方は、製品名だけでは決まりません。
外観に異常がなく、JBRCの条件に合うものは、協力店や協力自治体を探せます。メーカー不明品や会員企業外の製品、膨張・破損・水濡れがあるものは、メーカーまたは自治体への確認が必要です。リコール対象なら、その案内を先に見ます。
買うときに回収先まで一度調べておく。型番が読めるうちに記録しておく。使い終えた後の作業としては、それだけでも大きな違いになります。
調査について
この記事は、2026年8月28日時点の環境省、経済産業省、NITE、一般社団法人JBRCの公開情報を確認して作成しました。家庭から出るモバイルバッテリーを対象としています。事業所から出るものには別の手続きがあります。
自治体の回収区分、協力店、メーカーの会員状況、リコール情報は変わることがあります。実際に処分する際は、お住まいの自治体、メーカー、持ち込み先の最新情報をご確認ください。
この記事は製品の使用感を比べるものではないため、利用者レビューは根拠に使っていません。
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